平湯モデルの特徴

平湯モデルの特徴

素材のこだわり

 

 

平湯モデルは、カバ桜を基調とした家具です。

カバ桜(真カバ)は、赤みのある樺材で、主に北海道で伐採されています。

美しく上品な木目で、書架だけではなく、テーブルやカウンターなど、ほとんどの家具にカバ桜を使用しています。しかし、練付合板や、無垢材はコストがかかりますので、本で隠れて見えないところなどは、シナ合板を使用してコストを抑えています。

棚板の小口や、テーブルの天板など触れるところは、温かく丸みのあるデザインと、無垢材であることにこだわっています。本物の「木」を取り入れることで、利用者の方々に木のやさしやあたたかさを味わっていただけます。

 

 

やさしい傾斜

 

書架の前に立ったとき、本が奥に入り込んでしまっては、本のアピール力が弱まってしまいます。
平湯モデルの家具は、棚板が浅く、側板や仕切り板よりも前に出ています。

そのため、本が飛び出て見えてくるようなデザインになっています。

さらに、ほどよい傾斜をつけることで、最下段の本のタイトルも見やすく、取り出しやすい設計になっています。

絵本棚の場合、この傾斜をもう少し傾けてあるので落下防止用の受けなどもなく、絵本の表紙が隠れず、アピールする力が強まります。

 平湯モデルを十分に生かすためのポイント

 

そもそも平湯モデルは、「図書館を生き返らせる」ためのプロジェクトとして、平湯文夫氏の監修のもと、小島工作所が家具設計、製作、価格設定などに協力し開発したものです。

「学校図書館をこどもたちが集まる活気ある場所に生き返らせる」というところから始まって、今では全国各地の学校はもちろん、一般図書館にも導入されている家具です。

ラインアップも豊富で、適材適所で家具を選べるのが最大の利点です。導入の際は、どう使いたいか、何を配架したいかなどでピックアップする家具が異なります。

もっと平湯モデルについて知りたい!もっと平湯モデルを活かしたい!という方へ、平湯モデル図書館家具を十分に生かすためのルールをご紹介します。

すでに導入されている図書館も、これから導入しようと思っている図書館もぜひチェックしてみてください。

 

 平湯モデルを十分に生かすためのチェックポイント

①収納型の書架から展示型の書架へ

棚の奥行ではなく、高さに合わせて配架すること。

展示棚ですので、本は棚板よりも出ててOKです。

横から見ても、本が隠れないように配架してください。

 

②目の前の棚を展示用に

展示効果の高いA4サイズなどの大判の本を目線もしくは

目線よりやや下の棚に表紙を見せて配架できるように、

書架の棚の高さも、棚高も広くとってあります。

 

③すべての書架に迫ってくる力を

前に立ったときに、本たちが飛び込んでくるようなイメージです。

分類番号によっては配架しにくいものもあるかもしれませんが、

どうしてものときは、大型本架を添えることをお勧めします。

 

④コンパクトでキャパの高い書架を

傾斜がついていることで、全体が低くなりますので、

通常の本棚よりも1段多くなっています。

アピール力もあって、収納力もある優れた設計になっています。

 

⑤ブックエンドを追放して、書架をスッキリ

ブックエンドやブックサポートを改良するよりも、仕切りを増やしたほうが

十分使いやすくなります。絵本架も仕切りを増やしたことで、

絵本も倒れにくく、こどもでもらくに絵本を取り出せます。

 

⑥横勝ちのデザインですっきりと

側板、中仕切りを引っ込めて、棚板を前に出したデザインです。

棚板は丸みのある表情で、横のラインが強調されています。

書架が並んだときのスッキリ感と、統一感が生まれます。

 

 

⑦ひとつひとつの家具に優しく迎え入れる表情を

円弧の入口看板に湾曲したカウンターの組み合わせなど、

家具だけではなく、レイアウトにも気を使っていただきたいです。

(※レイアウトに関しては平湯文夫氏の監修が必要です)

⑧木のもつ暖かさ、やさしさを存分に

木自体が、あたたかさやさしさを感じられるようなカ

バ桜を使用しています。木そのままのあたたかさや、やさしさを

感じてほしいので、色を付けたりテカテカにしたりはしません。

 

 

⑨図書館には、上物ではなく、本物を

図書館はシンプルな美しさや気品こそが大切で

重厚さやゴージャスさも無用です。節や、割れ、木目や

色味の違いも、天然木の個性として受け入れてください。

⑩片づけて帰りたくなる書架なら最高

利用者が利用しやすいように、ブックエンドやサポーターを廃止し、

傾斜にして取り出しやすくしたというのが、

そのまま片づけやすくなったのです。

 

 

 

すべて平湯モデルに取り換えられた館のライブラリアンが「子供たちがじゅうたんの上に散らばった絵本などをきれいに戻して帰るようになりました」とおっしゃってました。

利用者が利用しやすく、図書館員が仕事がしやすいようにということを目指していた結果、片づけること自体が楽しくなるような書架を実現できたのかと思います。

※図書館を平湯モデルで生き返らせる 増補改訂2版」より一部引用